・症状を抑える「西洋薬」と、体を変える「漢方薬」
「漢方薬」という言葉を耳にすることは多いですが、「西洋薬」という単語を見ることはあまりないと思います。
ここでは漢方薬の対義語として、病院で処方される薬や、ドラッグストアで売っている漢方薬ではない薬について、西洋薬という表現を使用しているだけです。
一般的な薬のことを西洋薬と表しているととらえてください。
西洋薬と漢方薬の違いについて考えたときに、西洋薬は効き目が早いけれど、漢方薬はゆるやかだ、という認識を持っている人は多いのではないでしょうか。
たしかに、効き目の早さだけを見ればその考え方は間違いではないのですが、西洋薬と漢方薬では、そもそもその効果の方向性が異なります。
例えば、風邪をひいてしまったときに、西洋薬では風邪薬を飲みますし、漢方薬でも風邪に効果的とされる漢方薬がありますので、それぞれの薬を飲みますね。
西洋薬の場合は、鼻水を止める成分、咳や喉の痛みを抑える成分が配合されているため、これらの症状に悩んでいる人は、症状が短い時間で治まったので、効き目が早いと感じます。
漢方薬の場合、鼻水や喉の痛みを抑えるという、「症状を抑える」効果があるのではなく、血流をよくして体を温めたり、体のめぐりをよくすることで体全体の調子を整え、風邪を治していくことを目的としています。
症状を抑えるのではなく、体を正常な状態にすることで、病気による症状を改善するのです。
こうしたことから、西洋薬よりも漢方薬のほうが効き目が緩やかですが、一時的に症状を抑えるのではなく、体を変えて病気を治すので、根本的なところに効果があるということがいえます。
・西洋薬と漢方薬、それぞれのメリット
漢方薬は前述したように、体質を変えて病気を治すという、病気に対しての考え方が正統派な薬です。
また、漢方薬はすべて天然の成分を調合して作られているため、西洋薬のような「飲み合わせ」などを心配する必要がありません。
もちろん、漢方薬同士の相性が関係する薬もありますが、アナフィラキシーショックのような命に関わる副作用は一切ないという点も、漢方薬を服用する大きなメリットだといえます。
では、西洋薬にはメリットはないのか、というと、決してそんなことはありません。
例えば鎮痛剤などは西洋薬の素晴らしい力だと思います。
胃炎など我慢できない痛みを発しているとき、漢方薬のような効き目が緩やかなものだと、痛みに耐えられず精神的な支障をきたしてしまいます。
鎮痛剤を服用することで、数10分で痛みが治まり、落ち着いて治療や診察を受けることができるのは、西洋薬ならではの効果です。
それぞれのメリットを上手に活かしながら、薬を服用するのが賢い方法です。